セヴァン・スズキの Be the Change! ツアー2016 ~ミライノセンタク~ 北九州トークセッション

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セヴァン・スズキの Be the Change! ツアー2016 ~ミライノセンタク~

トークセッション(セヴァン、原田昌樹、中村隆市)2016年5月15日

中村

では最初に原田さんのお話し、それから村上さとこさんや私の話を聞いてもらって、どんな感想を持っているかも聞かせていただきたいと思います。

セヴァン

ありがとうございます。今日は北九州でいろいろな活動をされている皆さんのお話を聞くことができ、大変感銘を受けています。

まずは原田さんのご発表でしたけれども、ただただ子どもたちの物理的な貧困を解消しようというだけではなく、心の貧困にも光を当てていらっしゃるところにも大変感銘を受けました。

私が日本に来るようになってだいたい14年くらい経ちますけれども、その間いろんな変化が起こっていますが、特に「自分はダメな人間だ」と思う子どもたちが増えていると聞いて大変悲しくなります。そういった問題に特に関心がありました。

あきらかに子どもの時代に自分はいろんなことができるという、強い自信を持った子どもはやはり自信を持った大人に成長できると思います。

そして世界的な傾向として先進国でも「自分はダメな人間だ」と自信を持てない子どもたちが増えているように見受けられます。その一因として多くの国々で持つ者と持たざる者との差が拡大してきているということがあると思います。

もう一つの要因として、自然に触れ合う機会が減ってきているということもあると思います。私の国カナダでもそうですし、日本でもそうだと思います。

子どもたちが自信を無くすという背景にはもちろんいろいろな問題が絡み合って存在していると思います。ただ、物理的に貧しくても田舎で農地が十分にあるところで育った子どもはきちんと食事をとることができるでしょうし、また自然に触れ合うこともできるでしょう。そういうことができない子どもたち、自然から切り離されている子どもたち、様々な社会問題に直面している子どもたちというのは自信を取り戻すのが難しい状況にあると思います。だからこそ、親である私たちがこういった問題に取り組んでいくことが重要だと思います。そのような中、今日原田さんのお話を聞き、単に食料の問題だけではなくそれに関わる社会的な問題に対しても解決策を見つけて、そして解決していこうという活動をされているということで、大変勇気づけられました。

それから私の長きにわたる友人である中村さんのご発表がありましたけれども、非常に長い期間チェルノブイリの問題に関わってこられたということですが、大変驚きをもって聞かせていただきました。

今日はいろいろな真実をお話しいただきました。ですから今日ここにお集まりのみなさま、是非ここで見聞きされたことを周りの人に伝えて広めてください。実際にここで何が起きているのか、そしてチェルノブイリの事故のとき、それからその後の状況と比べてどうなのか、そういったものを周りの人に広めて、私たちの周りの社会の人びとにも目を覚ましていただければと思います。

それから最後にここ北九州で活動されている方が震災がれきの問題、汚染土壌の問題についてご指摘を下しました。これは今ここで起こっている重要で深刻な問題だということを知ることができました。是非皆さん、立ち上がって声を大にしていうべきことを言っていただきたいと思っています。より多くの日本のみなさんに声をあげていただけたらと思っています。もちろん、通常であれば立ち上がって声を上げて自分の意見を言うというのは難しいかもしれません。けれども私たちはそのような難しいこともやらなければならない異常な事態に直面しているのです。人類の歴史をみてみても、本当は人前に出ていろんなことを言いたくはないし、こんなことはやりたくないということがあるかもしれませんが、やはり全員が声を上げていかなければならないというのは絶対にあるわけです。ですから、そのようなときには是非とも自分たちが真に信じていることを伝えていただきたいと思います。

1960年代のアメリカで起こったことを思い出してください。アフリカ系アメリカ人による公民権運動です。彼らは社会が自分たちに対して行っている不公平・不公正に終わりを告げるためにどうしても立ち上がって声を上げなければならなかったんです。

カナダでも先住民族の女性のグループが大きなムーブメントを起こしております。カナダにおける先住民族の女性は非常に長い間抑圧されてきました。そして女性に対する殺人事件の割合も、先住民族の女性が殺されるケースが他の人種の女性が殺されるケースよりも7倍高くなっていたわけです。非常に長い間、彼女たちはこういった不公正・不公平の中で生きてきましたので、自分たちは団結しなければならないということで立ち上がりました。

ですからここ日本でも同じような動きをとっていただきたいと思います。と言いますのは、放射能の半減期というのは100万年なり、何万年もの長い時間続くわけです。ですから今生きている私たちの世代、そして子どもの世代の健康のみならず、子どもの子どもの・・・もっとずっと未来のことも考えて声を上げてほしいと思います。

わたしたちが立ち上がって団結して、全体のシステムを変化させましょう。

ありがとうございました。今セヴァンの話を聞ながら思い出したんですけど、福島や関東から避難してきた方たちに沢山会いました。一部の人たちの暮らしのサポートをしたりしてきたんですけど、その人たちのほとんどがお母さんたちで、その人たちが言っていたことは、福岡に来て安心して窓を開けることができる。窓を開けて空気を吸うことができる。そして安心して水を飲むことができる。安心して食べ物を食べることができる。安心して子どもを外に出して裸足で遊ばせることができる。そして川や海に子どもを入らせることができる。

そういう環境がまだ福岡にはあるわけですよね。でも汚染土壌が全国で使われるようになったら、どうすればいいのかという状態になっていくわけですね。がれきの問題の時に非常に心配しましたが、それ以上に大きな問題がやってこようとしているわけですね。

セヴァンといろいろ話す中で、今回こういう講演会をやった後で必ず「自分になにができるか」ということを多くの人が思ってくれるだろうと。そのときに具体的にできることを提示しておくことが大事だろうということをセヴァンが言っていました。

先ほど原田さんが「フードバンクではさんの協力が必要です」とお話しされました。是非みなさん協力してください。それからこの汚染土壌の問題、高レベル廃棄物の問題に対しても、そういうことをやらないでほしいという署名運動が起こっています。今日のお手元の資料の中に原発事故被害者の住宅支援打ち切りをやめてほしいという署名用紙も入っていると思います。もし入っていなかったら帰りに受付の方で聞いてみてください。

人間は脳科学的に言うと行動を変えたくないという性質をもっています。だから放っておくと変えたくないんですね。新しいことをやるのは非常に意志がいります。変えていこうという意志がいる。でもどんなことでもいいので、出来ることを小さなことでもいいので、それをやることでだんだんといろんなことができるようになりますので、あまりそういった活動をされた経験がない方は1歩でも半歩でもいいと思いますので、出来ることをやっていただけたらと思います。

それでは原田さんにも今日のセヴァンの話、あるいは他の話も含めて、今のセヴァンのコメントを聞かれて感じられたことを聞かせてください。

原田:

このような機会を与えられて本当に感謝しています。セヴァンさんのことは中村さんからお聞きして、youtube12歳の時のスピーチを観ることができます。すぐにそれを聞かせていただきました。その時に本当に思ったのが、彼女が年齢を問わずにアクションを起こしたことに対しての深い感動と、それが12歳の1人の女性が語った6分間ほどのスピーチだったけれども、確実に世界的に影響を与えて、今も与え続けているというのを知ったときに、行動を起こすということがどれだけ大事かということを強く思っています。あの時にこういうことを言いたいな、伝えたいなと思っても、彼女自身がお金を集めることもなく、飛行機に乗ることもなく、あの会場に12歳の時に行かなかったら、おそらくここでお会いすることができていただろうかという思いがあります。ですから、今日の話を聞きながら今私たちは選択をするということにおいて行動を起こさなければならないと思っています。

中村さんのお話を聞いても、あそこまで詳しく原発の問題に対して私自身は知りませんでした。知った以上、わたしたちは応答しなければならないと思っています。

今自分に対しての、無知に対する怒り、そしてこれから残されている将来の限りを考えた時に、おそらくここにおられる方々は子どもの子どもの子どもの…という話の中で、長い未来の話の中で、100年も言い続けられる人は誰もいないと思うんですね。それに気づいたときに今私たちにできることをやらなければならないと強く思っていますし、それは何か大きなことというよりも、例えば7月に行われる選挙においても、正直私自身今まで何年間も選挙に投票し続けましたけれども、誰かから頼まれて投票したとか、その組織の中ではこの人に投票しなければ立場が悪くなるから投票したとか、いろんなかかわりの中で、投票することに意義があるくらいの軽い気持ちで投票したことが何回あっただろうかと思ったときに、今回の投票というのはこの日本の先を決める、9条のこともそうですし、原発のこともそうですし、そういうことを私たちが本当にしっかり考えて、誰にではなくどのような国にしなければいけないのかということを問われているのではないかということを私自身強く感じております。

ありがとうございます。素晴らしいコメントが出ています。

それでは寄せられた質問が沢山あったのですが、時間が限られますから少し絞って質問したいと思います。

セヴァンさんが1番大切にしているものは何ですか?

ヴァン

その質問の答えは簡単です。私の子どもたちです。どの親に聞いても同じ答えが返ってくると思います。

おしまい?

ヴァン

いつも質問されたとき長く答えてしまうのでこの質問くらいは簡潔にこたえようかと思います(笑)

わかりました、はい()

日々の生活の中で子どもたちに気を付けて伝えていることは何ですか?

ヴァン

私も人間ですから、子どもにとって良いお手本になろうとしています。そして私自身常に正しく生きていきたいと思っています。もちろん子どもとは十分なコミュニケーションを取りたいと思っていますし、そうすることによって子どもも私が言うことを私が思う以上に賢いので、いつも真実を知りたいと思っていると思います。

また良い経験を示したいというだけではなく、自分たちの周りに悪いことが起こって、それを子どもが目にした場合、例えば人が何かをやらかしたとかですね、それについて話し合うようにしています。何か問題が起こっている場合は、もしそれを解決するためにどういうことができるかを話し合うようにしています。

何年も前のことですが、ECOという子どもの環境クラブを立ち上げて、お金をためてリオの地球サミットへ行ったんですけれども、その前に私たちは自分たちにできる小さなことから始めていたんです。例えば海岸を清掃してきれいにしたり、きれいな水が飲めない地域で、水をろ過するフィルターを送ったり、自分たちにできる小さなことから自信をつけて、そして最終的にリオまで到達したのです。

ありがとうございます。では次の質問ですけれども、人の意識を変えるにはどうしたらいいでしょうか?

ヴァン

どこに行っても同じ質問をされます。物語というのは非常に強力なツールだと思います。それから実際に人に会うことですね。例えば今回も福島から来られた方に会いましたし、それから熊本の方にも会って、その人たちが実際に経験したことを私に話してくれると、私自身も「この人たちとつながっているんだ!」というふうに思います。そして私自身の考えに変化が生まれます。これは単にニュースを見ているだけでは起こらない変化です。

やはりそのようなストーリーを共有するということが重要です。ただ単に人のストーリーを聞くだけではなく、私にも自分のストーリーがありますし、自分がいつも気にかけていること、自分がどのような行動をとっているかということを周りの人にも伝えています。

そして個人として意見を言うことはできるんですけれども、言うだけではなく実際行動にてみせることもいいと思います。例えばわたしはいつも水筒を持ち歩いています。ですのでペットボトルの水は買いません。コーヒーも好きなのでよく飲みますからマイカップを持ち歩いていますし、日本のお弁当も大好きなのでお箸を持ち歩いています。人に「ああしなさい、こうしなさい」と言うのではなく、自分自身がこういった行動をしているという模範を示すことで小さな変化ではありますけれども「ごみを減らしましょう」というメッセージを伝えることができると思います。

ありがとうございました。昔マイ箸の話をしたときに、よく人と一緒に食事をするときに自分だけマイ箸だと気まずいんですよね。他の人はマイ箸持っていないのに自分だけというのが。それで箸をたくさんセットで持っていて、持っていない人に貸すんですよね。これを「ハシワタシ」と言いているんですけど、そのダジャレをセヴァンは非常に気に入っていて、この前私が箸を忘れたときに「ハシワタシ」と言ってくれたんです。そういうこともいいかなあと思います。

それで実は時間が過ぎているらしいんですが、みなさん、もう少し続けていいですか?

(会場から拍手)

ごめんなさいね、今あそこで山伏さんがあそこで待っているんですが、もうちょっと待ってもらおうと思います。それでは最後の質問です。世界はよくなっている、これから良くなると思いますか?

ヴァン

私は世界はこれから良くなるという希望を持っていますし、世界はよくなっていると思います。このような集まりというのは世界各地で開かれているんです。これまで世界を牛耳ってきた多くの制度というのが非常にグラついて不安定化しつつあります。ですから今こそ大きな変革が起こるときだと思っています。

数年前、エコシティー国際会議というものがあり、出席したことがあります。これは世界中の自治体における持続可能な取り組みの事例を紹介する会議だったのですが、いろいろな取り組みがなされていることに大変驚いたのを覚えています。そのような話を聞くにつれ、いろんな問題に対する解決策というのは私たちの周りに沢山散らばっているということが分かったのです。

今日もここで原田さんがフードバンクの活動をご紹介されましたが、原田さんの場合は十分に食べられない子どもたちがいるという問題がまずこそにあって、そこから子どもたちの貧困を解消すると同時に食品ロスを削減すると同時に人の成長に必要なコミュニティを作っていこうというところまで拡大しました。これは私たちの世界が良い方に移行していくための非常に重要な活動だと思います。特にここ日本には問題を解消するための多くの解決策があると思います。実際にわたしも沢山の例を見てきています。例えば稲作に関しても生物の多様性をうまく活かした稲作が日本では実践されています。その背後にある考え方というのが仏教や昔からある神道から来ているということも学びました。

もちろん私たちの周りにはたくさん大きな問題があります。でも現在私たちはインターネットを使うことができますし、SNSなども使うことができます。わたしたちが使えるものを上手に使いながら問題を解決していくことができるのではないかと思いますので、そういう意味で世界は良くなってきているという望みを持っています。

ありがとうございます。それでは最後に登壇していただいた原田さんにも一言感想をお願いしたいと思います。

今日はこのような機会を持てたことを本当に感謝しています。今日は繋がることができたなという感じが持てていますので、私たちはここで出会っただけではなくて、北九州市内で活動していますので、いろんな形でこれから私たちにできることで良い社会を作っていかなければと思っています。今日はありがとうございました。

ありがとうございました。一番最後にセヴァンに今日のこの場だけではなくて、今日は日本のツアーの最後ですから、最後のコメントをお願いしたいと思います。そのコメントを話す前に少し私の感想をお話しさせていただきます。

セヴァンが14年前に来日した時に、ツアーを終えてゆっくり時間をとって話し合ったことがあります。その時に1番私の印象に残っているのが、「一人ひとりが自分が大切にしているものを大切にして、充実した人生を生きることが世界を良くしていく」という話をしたんですね。本当にそうだと思います。

今日話を聞いて、いろんな受け止め方があるかもしれませんが、みなさんお一人お一人が素晴らしい人生を送られて、その結果がこの社会を良くしていくのではないかと思っています。

原発のようなウランを掘って、自然を破壊して、汚染して、原発を稼働しているだけで事故が起こらなくても周辺に子どもたちの病気を増やして、原発を冷やすために海水を吸い上げて7度温度が高くなったものを海に捨てることで海の環境も破壊します。そして海水を吸い上げるときにプランクトンや魚の卵や小さな魚を吸い上げて殺しています。海の生態系を破壊しています。そして原発で働く人たちは被ばくして病気が増え、最終的に先ほど話したように高レベル放射線廃棄物がでるという。この近くにいると数十秒で人間は死んでしまうような猛毒ですけれども、これを作り出して、これが何十万年も、アメリカの裁判では100万年管理が必要だと言われていますけれど、そのようなものを作って死んでいくというのは、良い死に方できないなと思うんですよね。

お一人お一人が充実して生きる、そういうことを大事にしていくことでこの社会が良くなっていけばいいなと思っています。

それではセヴァンにこのツアー全体の感想を聞きたいと思います。

ヴァン

まず。今回また日本にこれたこと、そしていろんな方に温かく歓迎していただいたこと、そして日本において素晴らしい活動をし、ネットワーク作りをやっている方々にお会いできたことを心から光栄に思っています。

今回は私の子ども2人と姪も一緒に日本へ来ましたけれども、大歓迎していただきました。私たち一族にとりまして、日本というのは先祖の国でありますので、日本にまた来ることができたというのは非常に意義深いものだと思います。

今回で来日は6回目になりますが、毎回日本に来るたびに非常に急進的で変革を起こそうとする進歩的な人々に会うことができていますし、力づけられています。

皆さん方に知っていただきたいのは、何か問題があっても、解決策は常にあるということです。

今回の来日も2年前の来日も、実際に人々が想いを語ってくれるということが私に大きな印象を与えてくれていると思います。

日本にはとてもドラマティックなストーリー展開がありました。第二次世界大戦の終戦、これは原爆の投下という形でもたらされました。そのあと新たな原子力エネルギーの時代がやってきて、それもアメリカ政府から奨励され原発の稼働が日本でも始まりました。

日本の国としてのアイデンティティー、世界から見た日本のアイデンティティーとは、平和を愛する国民であり、そして技術革新にたけたであり、戦後の荒廃から力強く復興を遂げて強力な国家を作り上げたといったアイデンティティーがあると思います。

しかしながら日本のみならず他の国々でもそうですが、大量消費・大量廃棄のやり方を続けてきたために、多大な代償を払うことになってしまいました。日本においては原発事故という壊滅的な痛手を受けています。特に福島の人びと、そして女性や母親からは「このような原発はいらない」という声が上がり、そしてストーリーが展開されています。このような人びとは自分たちだけではなく子孫の未来も絶対に守らなければならないと思っています。

このようなストーリーを実際にお聞きすることができたことを誇らしく、また光栄に思います。これから日本が持続可能なエネルギーシステム・社会を構築するための運動に少しでもお役に立てればと思っています。ありがとうございました。

ありがとうございます。今孫から時間がやばいですよという紙を渡されたのでこれでトークセッションを終わりたいと思います。ありがとうございました。

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