甲状腺がん悪性または疑い200人超え〜福島県が公表

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3巡目、がん確定9人に 子どもの甲状腺検査 県民健康調査検討委
(2018年6月19日 福島民報)より転載

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故に伴う県民健康調査の検討委員会は18日、福島市の福島グリーンパレスで開かれた。2016(平成28)年度、2017年度に実施した3巡目の甲状腺検査(本格検査)で、甲状腺がんと診断された人は前回(今年3月)報告から2人増えて9人になったと報告された。

2016.02.16 二面 甲状腺検査グラフ

3巡目の甲状腺検査の2次検査結果 2018.3.31現在

 甲状腺検査の流れは【図】の通り。3巡目検査は原発事故当時に18歳未満だった県内の子ども約33万人が対象。1~3巡目検査を合わせると、甲状腺がんの確定は162人、疑いは36人に上る。疑いは前回報告と変わりなかった。
 3巡目の本格検査の地域別内訳は【表1】の通り。

 また、2017年度に25歳となった人を対象とした甲状腺検査で、検査を受けた97.1%の1846人の結果が示された。4.3%に当たる80人が2次検査の対象となったが、悪性や悪性疑いはなかった。

 原発事故後4カ月間の市町村別の外部被ばく線量の推計結果は全体の62.2%の28万9307人が1ミリシーベルト未満だった。

( 2018/06/19 08:51 カテゴリー:主要 )

福島・県民健康調査 甲状腺がん新たに2人
(毎日新聞2018年6月18日)より抜粋

 東京電力福島第1原発事故の影響を調べる福島県の「県民健康調査」検討委員会が18日開かれ、県は事故時18歳以下の子どもの甲状腺検査で、3月末までに新たに2人が甲状腺がんと診断されたと発表した。がん確定は計162人となった。検討委は「被ばくの影響は考えにくい」と説明している。

甲状腺がん悪性または疑い200人超え〜福島県が公表
(2018年6月18日 ourplanet)より抜粋


 
東京電力福島第一原発事故後、福島県が実施している健康調査のあり方を議論している「県民健康調査」検討委員会の第31回目の会合が18日、福島市内で開催された。注目を集める甲状腺検査は、2011年の検査開始からこれまでの3巡を終え、それぞれの結果が公表された。それによると、穿刺細胞診を行って悪性あるいは悪性疑いがあると診断された患者は199人。手術を受けて、甲状腺がんと確定した患者は162人となった。
 
また、県は2016年から実施している甲状腺検査サポート事業の結果を公表。県から支援金の交付を受けた甲状腺がん患者のうち5人が、検討委員会で公表されているデータに含まれていない患者であると説明した。サポート事業で県が把握していた患者を含めると、甲状腺がんと確定している患者は167人。疑い例を含めると204人に達することがわかった。
 
資料
http://www.pref.fukushima.lg.jp/site/portal/kenkocyosa-kentoiinkai-31.ht…
 
20180618 先行検査・1巡目(平成23~24年度)

20180618 本格検査・2巡目(平成26-27年度検査)

20180618 本格検査・3巡目(平成28-29年度検査)

 
激減する細胞診〜理由は?
今回、議論となったのは、2次検査で穿刺吸引細胞診を実施する割合が激減している問題だ。甲状腺外科医の清水一雄委員は、年度を追うごとに実施率が減っていることに着目。「基準は同じだと思うがどう考えているのか」と質問したところ、福島県立医科大学の志村浩己甲状腺検査部門長は、「1巡目、2巡目、3巡目と細胞診をした人が増えているため、所見に変化がない場合は、検査を見送っている」と回答。さらに「我々の経験値があがっているため、判断基準はかえていないが、判定がより正確になっている。ムダな細胞診をしないのが今の方針。それでだんだん減っている」と述べた。

会見でも「基準は変えていない」と繰り返したが、「過剰診断論」が浮上する中、穿刺吸引細胞診を適用する症例を絞り込んだり、「経過観察」後に先延ばししている可能性が示唆された。細胞診は、1巡目では、2次検査を受けた患者のうち39・6%に当たる547人が受けていたが、2巡目では207人と14・8%に減り、3巡目ではわずか35人と5・6%にとどまっている。その一方で、「経過観察」に回される患者の割合が増えており、検討委員会に公表される検査結果が徐々に意味をなさなくなっている。
 
国立環境研究所の春日文子委員は、保険診療に移行した甲状腺がん患者についても、腫瘍径の分布など、より詳細な手術データを公開して欲しいと要望した。志村部門長は、先行検査の腫瘍径の分布はすでに論文で公表しており、2巡目や3巡目についても、解析して論文で公表すると釈明したが、春日委員は、「論文で発表することも大切だが、この検査は、県の事業として始めたもの」と指摘。県民に公開することを優先するよう釘を刺した。
 
また、臨床心理士の成井香苗委員は、1巡目と2巡目の比較を早くして欲しいと強調した。
 
サポート事業見直しへ?
県は、2015年7月に事業を開始した「甲状腺サポート事業」の実施状況も公表した。それによると、事業開始から昨年度までに、医療費(支援金)を交付したのは233人のべ313件で、そのうち、手術を受けた患者は82人だった。このうち、77人が甲状腺がんと確定診断を受けており、検討委員会で公表されているデータから漏れている患者が5人いると説明した。5人のうち3人は、ほかの甲状腺疾患の治療中にがんと診断された症例で、残り2人は、2次検査を受けず、ほかの機関で悪性との診断されたという。
 
発表を受け、環境省の梅田珠美環境保健部長は、集まっている診療情報は県民健康調査のデータな活用する必要があると指摘。いつ集計するのかと迫った上で、2次検査指定機関を受診していない患者は対象外となっている現在の仕組みを変え、1次検査を受けた実績があれば交付するなど、交付要件を見直すべきとの見方を示した。春日委員もこれに同意し、「ありとあらゆるレベルの情報を統合的に統合してほしい」と述べた。これに対し、福島県民健康調査課の鈴木課長は国と相談しながら制度の見直しについて検討したいと回答した。
 
関連記事
診療情報を3年放置〜福島県・甲状腺検査サポート事業
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/2256
 
「過剰診断論」に伴う倫理面
会議の終盤、星座長は、前回の会議で、大阪大学の高野徹氏が、検査によって人権侵害が起きていると検指摘したことを受け、今後の検査における同意の取り方や検査のあり方について議論したいと切り出した。
 
これに対し、清水委員はすかさず、「被曝という背景因子があり、検査は続けるべき」と発言。事故の影響かどうかを調べるためには、検査を継続する必要があるとの見方を示した。また、成井委員は、学校での検診を中心すべきとの意見があることについて、「スクールカウンセラーの立場から、学校での検査は困るとの声は聴いたことがないと実体験を報告。むしろ保護者は学校での検査を喜んでいるとして、県民のニーズを把握する必要があると述べた。さらに、甲状腺検査に伴う倫理的な側面は、甲状腺評価部会ではなく、上部団体である検討委員会で決めるべきと強調した。
 
県民の声を反映すべきという意見は、春日委員や福島大学の富田委員も言及。富田委員は、「ここに出てくる資料はすべて違和感がある」「裁判であれば、一番重要なのは当事者の声。県から調査があっていいと思うと指摘した。

記者会見

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