福島原発事故から8年半が過ぎ、がんや心臓疾患など 様々な 病気が増えてきています。この記事は、1ヵ月で賛同(いいね)が3万人を超えた【国連の勧告「年間1ミリシーベルト以上の被ばくは許されない 」を無視する日本政府 原発事故から8年半、福島で増えている病気】のダイジェスト版です。
私たちは、福島県民の年間被ばく防護基準を「20ミリシーベルト」から「1ミリシーベルト」以下に戻し、1ミリシーベルト以上被ばくする地域には「避難(移住)の権利」を与えることを求めています。
ベラルーシ科学アカデミーのミハイル・マリコ博士はこう言っています。「チェルノブイリの防護基準、年間1ミリシーベルトは市民の声で実現されました。核事故の歴史は関係者が事故を小さく見せようと放射線防護を軽視し、悲劇が繰り返された歴史です。チェルノブイリではソ連政府が決め、IAEAとWHOも賛同した緩い防護基準を市民が結束して事故5年後に、平常時の防護基準、年間1ミリシーベルトに見直させました。それでも遅れた分だけ悲劇が深刻になりました。フクシマでも、早急な防護基準の見直しが必要です」
年間被ばく線量が「20ミリシーベルト以下なら住んでよい」という政府の被ばく対策が続けば、計り知れない健康被害を招くことになると思います。
その根拠について、チェルノブイリ医療支援と福島の支援に関わってきた経験も含めてお伝えしたいと思います。
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チェルノブイリ原発事故で汚染されたウクライナ、ベラルーシ、ロシアの3カ国では、原発事故から5年後に被ばく線量を減らして住民を守るための法律 「チェルノブイリ法」を制定しました。
その詳細が分かるテレビ番組があります。2014年8月23日にNHKが放送した
「原発事故 国家はどう補償したのか ~チェルノブイリ法 23年の軌跡」です。
日本政府は、年間被ばく線量が「20ミリシーベルト以下なら住んでよい」と決めて避難した住民を帰還させていますが、チェルノブイリ法の第1章 第1条には、放射性物質の汚染地域とされるのは、住民に年間1ミリシーベルトを超える被ばくをもたらし、住民の放射線防護を必要とする地域であると明記しています。そして、その汚染地域を補償の対象にしています。
年間1ミリシーベルト以上被ばくする汚染地域には「移住の権利」が与えられ、5ミリシーベルト以上は「移住の義務」があり、住むことができません。
1ミリシーベルトを超える地域は補償の対象となり、無料で検診が受けられ、薬代の無料化、公共料金の免除、 非汚染食料の配給、学校給食の無料化、非汚染地域での「転地保養」の旅行券が支給されるなど様々な補償があります。
また、移住をする人には移住先での仕事を探し、住居も提供、引越し費用や移住によって失う財産補償なども行うことで、移住をしやすくしています。
チェルノブイリでは、原発事故から5年後にこの法律(チェルノブイリ法 )をつくり原発事故の被害者を救済しようとしてきました。
しかし日本では、福島原発事故から8年が過ぎても1ミリシーベルト以上の汚染地に「移住の権利がない」だけでなく「20ミリシーベルトまで安全」と勝手に決めて 避難していた住民を汚染地に戻す政策を取り続けています。
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日本政府のこうした政策に対して、国連人権理事会は何度も問題点を指摘してきました。
政府が定めた年間 20ミリシーベルトの避難基準について「チェルノブイリ事故の強制移住の基準は年間 5ミリシーベルト以上だった。こうしたズレが住民の混乱を招いている」( 2012年11月29日 東京新聞 )
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じつは、原発事故が起こった2011年から福島県民に急性心筋梗塞や様々な病気が増加し始めていました。
原発事故後、福島が心疾患死亡率ワースト1に
福島原発事故の10カ月後 周産期死亡率が急上昇
周産期死亡率(妊娠22週から生後1週までの死亡率)が、放射線被曝が強い福島とその近隣5県(岩手・宮城・茨城・栃木・群馬)で2011年3月の事故から10か月後より、急に15.6%(3年間で165人)も増加し、被曝が中間的な強さの千葉・東京・埼玉でも6.8%(153人)増加、これらの地域を除く全国では増加していませんでした。
国連人権理事会は、 日本政府が福島の避難基準について1年間に浴びる被ばく線量を20ミリシーベルトとしていることに対して「科学的な証拠に基づき、年間1ミリシーベル ト未満に抑えるべきだ。健康を享受する権利を守るという考え方からは、年間1ミリシーベルト以上の被ばくは許されない 」と明確に勧告しました。
福島事故 国連人権理 報告書
健康である権利侵害
(2013年6月22日 東京新聞)より抜粋
日本では福島原発事故後「健康を享受する権利」が侵害されている-。国連人権理事会で5月、被災状況を調査した健康問題に関する報告があった。放射線量の 避難基準を厳格にすることなどを求めたものだが、日本政府は「事実誤認もある」などと激しく反発、勧告に従う姿勢を示していない。「人権を軽視している」 との批判が高まっている。
5月27日にスイス・ジュネーブで開かれた国連人権理事会で、福島原発事故後の健康問題に関する調査の報告があった。特別報告者、アナンド・グローバー氏の報告と勧告は、日本政府にとって厳しいものだった。
…健康調査についても不十分だと指摘。特に子どもの健康影響については、甲状腺がん以外の病変が起こる可能性を視野に、「甲状腺の検査だけに限らず、血液や尿の検査を含めて全ての健康影響の調査に拡大すべきだ」と求めた。
日本政府が福島の避難基準について1年間に浴びる被ばく線量を20ミリシーベルトとしていることに対しては、「科学的な証拠に基づき、年間1ミリシーベル ト未満に抑えるべきだ」と指摘。「健康を享受する権利」を守るという考え方からは、年間1ミリシーベルト以上の被ばくは許されないとした。
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国連人権理事会から厳しい勧告を受けても日本政府の態度は変わりませんでした。
それどころか、国連勧告から3カ月後に安倍首相は オリンピックを招致するため国際オリンピック委員会(IOC)総会で、福島原発事故による健康への影響について、「今までも、現在も、将来も問題ないと約束する」と発言しました。
その発言から2カ月後、原子力規制委員会も安倍首相に同調するかのように「年20ミリシーベルト以下は健康影響なし」と発表。被ばく対策は進まず、逆に避難した住民を「20ミリシーベルト基準」で放射能汚染地に戻す政策を強引に進めはじめました。
この話を聞いたドイツの連邦放射線防護庁の職員はとても驚いて「本当か?それは事実か?本当に年20ミリか?!子どもも妊婦もか?!」と何度も確認した後に「日本の国民は、それを受け入れたのか?! ドイツの国民は、そんなことは許さない!」と驚いた様子をドキュメンタリー番組が放送しています。
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◆ 甲状腺がんの急増
通常、子どもの甲状腺がんは、100万人に1人。未成年の甲状腺がん年間発生率も100万人に2人くらいでした。2006年統計で、甲状腺がんと診断された未成年者は【全国で46人】でした。これは【未成年2250万人に46人】であり 【100万人に2.0人】ということになりますが、2014年の福島県では【37万人に58人】も甲状腺がんと診断されています。
日本の人口の1.5%ほどの福島県で、通常の全国の発生数よりも多い58人が甲状腺がんになっているという異常な増加です。
子どもの甲状腺がんで特に心配なことは、「転移が早い」ということです。
福島県の県民健康調査「甲状腺検査評価部会」(平成26年11月11日)の資料によると、福島県立医大で手術した甲状腺がん54例のうちリンパ節転移は74%(40例)甲状腺外浸潤が37%(20例)と報告されています。また、鈴木眞一教授が日本癌治療学会で、「8割超の45人は腫瘍の大きさが10ミリ超かリンパ節や他の臓器への転移などがあり、2人が肺にがんが転移していた」と報告しています。
チェルノブイリ原発事故で大きな被害を受けたベラルーシの国立甲状腺がんセンターの統計では、15歳未満は3人に2人がリンパ節に転移し、6人に1人が肺に転移しています。
医療支援でベラルーシを何度も訪問するなかで私は、原発事故の被害者などが孤立せずに働くための「福祉工房」をつくったナターシャさんという女性に出会いました。
彼女には2人の子どもがいたのですが、私たちが出会ったときには既に息子さんを亡くしていました。息子さんは9歳で被ばくし、甲状腺がんが肺に転移して21歳で亡くなっています。そして、娘さんの胃ガンが悪化したとき、私たちは彼女から「娘を日本に連れて行って、日本の優れた医療技術で救ってほしい」と懇願されました。しかし、その時点で、がんは全身に転移しており、日本に連れていくことはできませんでした。5歳の子どもを抱えた娘さんは31歳で亡くなっています。
こうした事実を踏まえるなら、未成年の甲状腺検査は2年に1回ではなくて、ベラルーシのように年に2回か、少なくとも毎年検診を行う必要があります。また、原発事故当時19歳以上の人たちと福島県外の汚染地での検診も必要です。
「がんの進行が早い子どもの甲状腺がん」は、スクリーニング検査(一斉検診)が行なわれずに、自覚症状が出てきて検査を受けた場合、がんが進行していることが多くなります。「3・11甲状腺がん子ども基金」の報告では、左右2つある甲状腺を両方「全摘」しなければならない子どもが8割にもなっていますが、全摘すると一生ホルモン剤を飲み続けなければなりません。それ以上に心配なのは、肺などへの転移の比率が高くなることです。
スクリーニング検査で早くがんが見つかれば、甲状腺の摘出が片方で済む人が多く、転移も少なくなります。チェルノブイリでは年2回ほど検査してきましたが、日本では「20歳まで2年に1回」であり(空白期間に発症している例も出てきています)それ以降は「5年に1回実施予定」としています。しかも福島県以外では、こうした公的な検診をほどんど行なっていません。少なくとも年間1ミリシーベルト以上被ばくする汚染地では、福島県外も含めて毎年検診する必要があります。
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福島県では大人の甲状腺がんも増えている
その後、福島県の子どもの甲状腺がんは200名を超えていきます。
福島県の甲状腺がん発表は実数より少ない
政府や福島県は「 事故当時5歳以下の子どもに甲状腺がんが見つかってないからチェルノブイリとは違う」と発表していましたが、NPO「3・11甲状腺がん子ども基金」が福島県の公式データには含まれていない事故当時4歳児に療養費を給付していたことから「福島県が発表している数字は、実際の人数より少ない」ことが判明しました。
2019年6月現在、甲状腺がん子ども基金 は 原発事故時2歳〜18歳の子どもたち149人に療養費を給付しています。
福島県外でも子どもの甲状腺がんが見つかっている
放射能汚染数値が高い地域では白血病や悪性リンパ腫も増え始めていました。
全国平均 → 福島県平均 → 避難7町村
汚染数値の高い地域ほど死亡率が高い
こうした状況の中で、検診の拡充について、国連人権理事会の特別報告者、アナンド・グローバー氏の報告書が重要な指摘をしています。
報告書は、県民健康管理調査で子供の甲状腺検査以外に内部被ばく検査をしていない点を問題視。白血病などの発症も想定して尿検査や血液検査を実施するよう求めた。(2013年5月24日 毎日新聞から抜粋)
今、思い出したいことがあります。
それは、2011年4月の内閣官房参与・小佐古敏荘東大教授(放射線安全学)の発言です。
年間20ミリシーベルトを基準に決めたことに「容認すれば私の学者生命は終わり。自分の子どもをそういう目に遭わせたくない」「年間20ミリシーベルト近い被ばくをする人は、原子力発電所の放射線業務従事者でも極めて少ない。この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたい」と涙ながらに 抗議の辞任 をしたことです。
20ミリシーベルトの4分の1(5ミリシーベルト)以下の汚染地に住み続けた人びとの健康被害を取材したNHKの重要な報道番組があります。
◆チェルノブイリ原発事故・汚染地帯からの報告
第2回 ウクライナは訴える(2012年9月23日 NHK ETV特集)から抜粋と補足
チェ ルノブイリ原発事故の25年後に公表された「ウクライナ政府報告書」は、年間 0.5 ~5ミリシーベルトの汚染地帯に住む人々に深刻な健康被害が 生じていることを明らかにしました。(低線量汚染地の住民には)心臓疾患やリウマチ性疾患など、さまざまな病気が多発し、特に心筋梗塞や狭心症など心臓や 血管の病気が増加しています。
『低線量汚染地域からの報告書―チェルノブイリ26年後の健康被害』 という本が、番組 制作に関わった馬場朝子氏と山内太郎氏によって詳しく まとめられ、NHK出版から発行されています。 その一部を抜粋・要約します。
<チェ ルノブイリ原発から140キロの距離にあるジトーミル州のコロステン市は移住勧告地域と放射線管理地域が混在する低線量汚染地域で、年間 0.5 ~5ミリシーベルトの被曝線量が見込まれる地域である。コロステン中央病院の副院長アレクセイ・ザイエツ医師 「残念なことに、日本でも1年前に原発事故が起きました。多くの点が、私たちの悲劇的な事故と共通していると思います。今の日本の状況は、私たちの事故と同じであり、私たちに起きたことが福島でも起きているのです。」
内分泌科医のガリーナ・イワーノブナさん「事故当時18歳以下の子どもたちを3か月ごとに検査をしています。彼らの多くは甲状腺疾患を患っており、自己免疫性甲状腺炎や、びまん性甲状腺腫の人もいます。事故当時、少年だった彼らは、いまや大人となり、自分たちの子どもをもうけています。その生まれた子どもたちにも、多くの甲状腺疾患が見られるのです。」
リウマチ疾患が専門のガリーナ・ミハイロブナ医師 「チェルノブイリ事故前はリウマチ患者は6人だったのに、2004年には22人、2010年には42人、2011年は45人でした。こういった症状は、チェルノブイリ事故当日、若年層だった人たちに見られます」
ウラジーミル・レオニードビッチ医師 「リンパ腫と白血病という血液の病気も増えています。事故前の6年で、血液の病気は26症例(年平均4.3例)が記録されていますが、事故後は25年間で255症例(年平均10.2例)となっています。」
ガリーナ・ミハイロブナ医師 「被ばくした両親から、障害を持って生まれる子どもがいます。…先天性障害は、主に心臓循環器系疾患、腸、目などに確認されています。2005年から心臓の先天性障害が第1位で、現在もそれは変わりません」
ザイエツ副院長 「私が最も心配しているのは、先天性障害のある子どもたちの問題です。事故前までは年に数件しかなかったのですが、今は年に30~40人、そういう子どもたちが生まれています。」
<セシウムによる被曝に限れば、コロステンにいた人の被曝量は25年間の積算で15から26の間、だいたい20ミリシーベルト前後と見積もっていいだろう。このデータからも、年間被曝線量が1ミリシーベルト前後だという数字が導き出される>
原発事故から8年半が過ぎた今も「20ミリシーベルトまで安全」という 政府の態度は変わっていません。
その結果、何が起こっているのかを見ていきたいと思います。
南相馬市民が「20ミリシーベルト基準」の撤回を求めて提訴
南相馬市民は「避難20ミリシーベルト基準」の撤回を求めて提訴しました。
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20ミリシーベルト基準を許さない 避難指定解除 南相馬住民の決意
( 2015年7月7日 東京新聞)より抜粋
南相馬・避難勧奨地域の会の末永伊津夫会長は「東京五輪に間に合わせたいのか、政府は避難区域の解除に躍起になっている。その基準とされるのが年間20ミリシーベルトですが、無理があるのは明らかです。もしもこれが既成事実となったら、将来、世界のどこで原発事故が起きても20ミリシーベルトまでは大丈夫となる。こんなむちゃを黙認するわけにはいかないのですよ」
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この「20ミリシーベルト基準」の恐ろしいところは、チェルノブイリ法のような 1 ミリ シーベルト以上の汚染地に移住の権利がないため、住居や移住後の仕事などが保障されず、汚染地の住民が 移住するのを困難にしていることです。そして、避難している人たちの住宅補助すら打ち切って強引に汚染地に戻そうとしていることです。 この問題は、日本政府がいかに人権や人命(特に子どもの命)を軽視しているかを如実に表しています。
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この「20ミリシーベルト基準」が異常だということは誰にでも分かります。
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◆原発事故前の基準は、年間1ミリシーベルトでした。
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◆日赤の「原子力災害時の医療救護の活動指針」には「救護活動中の累積被ばく線量は、1 ミリシーベルトを超えない範囲とします」と明記しています。
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◆病院のレントゲン室など「年間5.2ミリシーベルト以上」被ばくする場所は、放射線管理区域とされます。18歳未満の就労が禁止され、飲食も寝ることも禁止されます。
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◆原発で働く作業員が白血病になった場合の「労災認定基準」は、年5ミリシーベルト以上の被ばくです。(累計5.2ミリシーベルトで労災が認定されている)
◆原発作業3カ月、20年後に白血病判明
5.2ミリシーベルト被曝 労災認定の男性語る
(2013年8月5日 朝日新聞)
政府は、大人ですら5ミリシーベルトの被ばくで 白血病になる可能性があると認めているのです。
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国連人権理事会は 昨年も「年間20ミリシーベルトではなく1ミリシーベルト以下」にするよう勧告しました。
◆子ども帰還見合わせ要請 国連報告者「年間1ミリシーベルト以下に」
(2018年10月26日 東京新聞朝刊)より抜粋【ジュネーブ=共同】国連人権理事会で有害物質の管理・処分などを担当するトゥンジャク特別報告者は25日、東京電力福島第一原発事故で避難した子どもや出産年齢の女性について、事故前に安全とされた被ばく線量を上回る地域への帰還を見合わせるよう、日本政府に要請する声明を発表した。
在ジュネーブ国際機関日本政府代表部の担当者は声明に対し「非常に一方的な情報に基づいており遺憾だ。風評被害にもつながりかねない」と批判した。
福島では避難指示が解除された地域から住民の帰還が進んでいる。日本政府は被ばく線量が年間20ミリシーベルト以下を解除要件の一つとしているが、トゥンジャク氏は事故前に安全とされていた年間1ミリシーベルト以下が適切だとの見方を示した。
声明は、日本政府には「子どもの被ばくを防ぎ、最小限にする義務がある」と強調した。
また、原発事故の避難者にとって、住宅無償提供の打ち切りなどが「帰還への多大な圧力になっている」と指摘した。
しかし日本政府は、国連人権理事会の勧告を無視し続けています。こうした政府の態度が続いて来た結果、さまざまな病気が増えています。
南相馬市立総合病院が主要な病気の患者数を公表
(2018年10月に公表: 2010年~2017年の年次推移 )
白血病と甲状腺がん、肺がんと大腸がん、急性心筋梗塞の患者数だけをグラフにしてみました。
ここまでは南相馬市立総合病院の「患者数」データでしたが、以下は政府統計の「死亡率」データから分かってきたことです。
2015年 急性心筋梗塞の死亡率
男女とも福島県が最も高い
厚生労働省が2017年6月に公表した都道府県別の格差。人口10万人当たりで年齢調整をした死亡率で比較。2015年では男性では最も高い福島県と最も低い熊本県で4.03倍。女性では最も高い福島県と最も低い秋田県で5.00倍の格差があった。
◆「心臓病」の地域格差 データでみる あなたの市区町村は?
(2017年8月4日 日本経済新聞)から抜粋心筋梗塞、予防と迅速な治療が生死を分ける
血液を全身に送り出す心臓の状態が悪くなる心疾患は、日本人の死因ではがんに次いで2番目に多い。厚生労働省が2017年6月に公表した都道府県別の格差もみてみよう。人口規模が大きいため人口10万人当たりで年齢調整をした死亡率で比較しており、2015年では男性では最も高い福島県(34.7人)と最も低い熊本県(8.6人)で4.03倍、女性では最も高い福島県(15.5人)と最も低い秋田県(3.1人)で5.00倍の格差があった。
都道府県別の急性心筋梗塞の死亡率
男女とも福島県がワースト1
福島県の男性は熊本県の4倍 女性は秋田県の5倍
福島県と全国平均の死亡率比較(年次推移)
以下のグラフは、政府の統計をグラフにしたものです。全国平均と福島県全体の病気ごとの死亡率を比較していますが、ここに掲載している病気はすべて全国平均より福島県の死亡率の増加傾向が顕著になっています。
(データソース)2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018
*データソースの各年の表番号18(2010-2012年)12-18(2013-2018年)の「(保管表)死亡数・死亡率(人口10万対),性・死因簡単分類・都道府県別 」の数字を元にグラフを作成しています。
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