原発事故の作業員が白血病 初の労災認定
労災申請 今後増える可能性
専門家「今後も被ばく量に注意」
<原発事故>白血病の作業員に初の労災認定
毎日新聞 2015年10月20日(火)20時57分配信
厚生労働省は20日、東京電力福島第1原発事故の廃炉作業に従事し、血液のがんである白血病にかかった40代男性の労災を同日付で認定したと発表した。 第1原発事故後の作業で被ばくした作業員のがん発症で労災を認めたのは初めて。原発事故から今年8月末までに福島第1原発で働いた作業員は4万人を超えて いるが、廃炉の完了は見通せない状況で、被ばくに伴う労災申請が今後増加する可能性がある。
厚労省によると男性は2012年10月~13年12月、建設会社の社員として第1原発で原子炉建屋カバーや廃棄物焼却設備の設置工事などに従事。作業中 は防護服や鉛ベストを着用していたが、体調を崩し、血液のがんである白血病と診断された。男性は別の原発を含めて約1年6カ月間原発で作業し、累積の被ば く線量は19.8ミリシーベルト(第1原発だけでは15.7ミリシーベルト)。現在は通院治療中という。
厚労省は、白血病に関する原発労働者の労災認定基準について、1976年に「年5ミリシーベルト以上で、被ばくから発症まで1年超経過していること」と 定めた。福島労働局富岡労働基準監督署は男性の労災申請を受けて、作業内容などを調査。放射線医学の専門家らで作る厚労省の検討会の意見を踏まえ、認定基 準を満たしていると判断した。男性には医療費や休業補償が支払われる。
今回の認定について、厚労省は「被ばくと白血病の因果関係は明らかではないが、労働者補償の観点から認定した」としている。
厚労省や東京電力によると、事故後に第1原発で働いた作業員は今年8月末時点で4万4851人おり、累積の被ばく線量は平均約12ミリシーベルト。このうち約47%の2万1199人が、白血病の労災認定基準の年5ミリシーベルトを超えているという。
事故後に第1原発で働いた作業員でがんを発症し労災を申請したのは、今回認められた男性以外に7人いる。このうち3人は労災が認められず、1人が自ら申請を取り下げ、残る3人は審査中だという。
今回の認定について、東電は20日、「労災認定されたのは協力企業の作業員で、詳細をコメントできる立場ではない。今後も作業環境の改善に努める」とのコメントを出した。【古関俊樹、関谷俊介】
◇原発労働者の労災認定基準
厚生労働省は原発労働者を含む放射線業務従事者について、労働安全衛生法に基づく被ばく線量の上限(年50ミリシーベルトかつ5年100ミリシーベル ト)とは別に、放射線障害による疾病ごとの労災認定基準を設定。白血病以外のがんでは、悪性リンパ腫で「年25ミリシーベルト以上」、食道がんや胃がんは 「100ミリシーベルト以上」などとしている。原発労働者の労災認定は、福島第1原発事故以外でこれまでに13人(白血病6人、悪性リンパ腫5人、多発性 骨髄腫2人)いる。
原発事故後の被ばく、労災初認定=福島第1元作業員―白血病発症で・厚労省
時事通信 10月20日(火)13時38分配信
東京電力福島第1原発の事故対応に従事した後、白血病を発症した元作業員の40代男性について、富岡労働基準監督署(福島県いわき市)は20日、「被ばくと疾病の因果関係が否定できない」として労災と認定した。
福島第1の事故後の作業で、白血病を含むがんが労災認定されたのは初めて。
厚生労働省によると、男性は2012年10月~13年12月、福島第1原発で原子炉建屋の覆いを設置する工事などに従事。同原発での被ばく線量は15.7ミリシーベルトだった。
男性は他にも複数の原発で働き、累積被ばく線量は約1年半で19.8ミリシーベルトに上るという。体調不良から医療機関を訪れたところ、白血病と診断されたため労災申請していた。
国は1971年、放射線被ばくによる白血病の労災認定について基準を策定。被ばく線量が年5ミリシーベルトを超え、作業開始から1年以上が経過して発症した場合、ウイルス感染など他の原因がなければ認定するとした。
厚労省は今月13日、専門家を集めた検討会を開き、被ばくと白血病の因果関係が否定できないとの見解で一致。「労災認定するのが相当」との報告書をまとめたという。男性は通院治療を続けており、医療費の全額と休業補償が支給される。
福島第1原発の事故前には、各地の原発で勤務した作業員13人が白血病を含む「がん」で労災認定されている。福島第1の事故対応では8件の申請があり、うち3件の不支給が決定。取り下げられた1件を除く4件が調査中だった。
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