20ミリシーベルト基準を許さない 南相馬住民の決意

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南相馬住民の決意 「20ミリシーベルト基準を許さない」

20ミリシーベルト基準を許さない  避難指定解除  南相馬住民の決意

 原告団の一人で「南相馬・避難勧奨地域の会」事務局長の小沢洋一さん(59)は、訴訟を「20ミリシーベルト基準撤回訴訟」とも呼ぶ。「人の命が何より大切とはっきりさせる訴訟だ」とも。

 

 小沢さんと現地を歩いた。

特定避難勧奨地点に指定された152世帯は南相馬市の西側半分、阿武隈山地に連なる農村部に点在している。福島第一原発から25キロ前後。線 量の高さを考えれば、避難指示が出ても不思議はなかった。行政区分を基にした単純な線引きで区域外とされたにすぎない。だが、あまりにも線量が高いことが わかり、国は追加措置をとる。地域の中で、年間積算線量が20ミリシーベルトを超えるとみられる地点で、小さな子供や妊産婦などがいる世帯を選んで避難を 促す対応をとった。

 

 「露骨な分断工作だった」と小沢さんは話す。「同じ小学校に通う子供で指定を受けた家の子とそうでない家の子がいる。指定を受ければ、慰謝料が払 われた上、医療費、税金、電気代、ガス代、NHKの受信料までただになる。指定外の家の子も避難はしたが、経済的にも大変。誰だって理不尽だと思うでしょ う」

 

 福島県には伊達市や川内村の一部にも特定避難勧奨地点があったが、2012年12月に解除された。そして南相馬市についても、政府は昨年12月に解除した。除染により線量が年間20ミリシーベルトを下回ったのが解除の理由であると説明された。

 

畑の端で、毎時17.7マイクロシーベルトと高い値が計測された

写真

 

「分断」を乗り越えて住民は反対で団結した。地域の行政区長のひとりで原告団長でもある菅野秀一さん(74)は「年間20ミリシーベル トを基準にするのもおかしいと思うが、地域の線量が、20ミリシーベルトを下回っているとは到底思えない。それでも特定避難勧奨地点がなくなれば、ただの地域になる。何ごともなかったかのように東電は賠償を打ち切るでしょう」と話す。

 

 たしかに地域の線量は驚くほど高い。小沢さんと一緒に実際に線量計をもって計測して歩いたところ、田畑の際などで空間線量が毎時10マイクロシー ベルトを超えるような場所が随所にあった。政府は年間20ミリシーベルトの積算線量に達する目安を毎時3.8マイクロシーベルトとしているが、楽に超えて しまう。

 

 南相馬・避難勧奨地域の会の末永伊津夫会長は「東京五輪に間に合わせたいのか、政府は避難区域の解除に躍起になっている。その基準とされるのが年 間20ミリシーベルトですが、無理があるのは明らかです。もしもこれが既成事実となったら、将来、世界のどこで原発事故が起きても20ミリシーベルトまでは大丈夫となる。こんなむちゃを黙認するわけにはいかないのですよ」と話す。

 

 前出の菅野さんは、こうも話した。「解除しても現実に帰ってきた子持ち世帯はない。病院もスーパーも閉鎖。長寿会も少年野球もPTAも崩壊。地域 社会がなくなった場所へ帰って来られるわけがない。年寄りばかりになって将来なんかない。先日、近所のおばあさんが池に身を投げた。皆で引き上げたけど助 からなかった。ここで、どれほど悲惨なことがおきているか、政府は知っているのか。私らは伝えなくちゃならない」

 

 農民一揆、という言葉が頭に浮かんだ。 (福島特別支局長 坂本充孝)

 

東京新聞:20ミリシーベルト基準を許さない

 

 

「20ミリは高すぎる」〜南相馬・避難基準裁判始まる

(2015年9月28日 ourplanet)から抜粋

 

東京電力福島第一原発事故で局地的に放射線量が高くなった「特定避難勧奨地点」の指定解除は違法だとして、福島県南相馬市の住民らが国を訴えている裁判で 28日、東京地裁で初の口頭弁論が行われた。年間20ミリシーベルトという国の避難基準の正当性を問う初の訴訟であるだけに関心は高く、150人に上る傍 聴者がつめかけた。

国を訴えているのは、福島第一原発事故で「特定避難勧奨地点」に指定された南相馬の地域住民206世帯808人。昨年12月に指定が解除されたものの、放 射線量は十分に下がっておらず、帰還すれば放射線による健康影響を受けながらの生活を強いられると主張し、解除の取り消しと、一人あたり10万円の損害賠 償を求めている。(原告の訴状)

原告の代理人の福田建治弁護士は、この年間20ミリシーベルト基準は、原発労働者など放射線業務従事者に適用される被爆限度に比べてもあまりに高すぎると 指摘。低線量被曝による影響については未解明なことが多い上、万が一、健康影響が発生すれば、その因果関係をめぐる長い法廷闘争が必要となるとして、将来 に禍根を残さないためにも裁判所の介入が必要であると訴えた。(代理人の陳述要旨)

これに対し、国は、特定避難勧奨地点の解除は行政処分に当たらないと反論。「特定避難勧奨地点の設定や解除は、年間の積算放射線量が20ミリシーベルトを 超えると推定されることなどやその地点として設定すべき実体がなくなったことの通知、または情報提供に相当するものだ」と主張した。(国の答弁書)

この日、原告2人も意見を陳述。自然豊かだった地域の暮らしが原発事故によって大きく変わってしまった状況や指定解除後も避難生活を続けている実情を訴え た。高倉行政区長の菅野秀一さんは、地域に子どもが一人もいなくなっていると説明。「若い世帯が戻らないのは、宅地の除染が済んでも、生活圏には無数のマ イクロホットスポットがあることを知っているから」であると述べた。(菅野秀一さんの陳述要旨)

また、事故当時、小学生2人と生後11ヶ月の子ども3人を育てている30代の女性は、原発事故以降、小さな子どもを守るために、避難先を転々と変えざるを 得なかったこれまでの経緯を説明。現在は南相馬市の仮設住宅で生活しているものの、賠償の打ち切りにより生活が圧迫されている状況を切々を語った。この日 は、南相馬から東京地裁まで駆けつけた原告33人。意見陳述の間、原告席からは時折、涙をすする音がした。(女性の陳述要旨)

被告である政府は、20ミリシーベルトの基準をめぐる準備書面の作成には省庁間の調整に時間がかかると主張。年明けの期日を指定したため、次回の口頭弁論は来年1月13日14時と決まった。

南相馬・避難20ミリシーベルト基準撤回訴訟支援の会
http://minamisouma.blogspot.jp
第1回口頭弁論期日 裁判提出書類(2015年9月28日)
http://minamisouma.blogspot.jp/p/blog-page_89.html

関連動画
「帰還の強要」撤回を求め提訴〜〜南相馬特定避難解除(2015年4月22日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1908
政府に解除反対の署名提出〜南相馬・避難勧奨地点(2014年11月7日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1850
10月中の解除見送り~南相馬「特定避難勧奨地点」(2014年10月27日背信)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1848
「一方的な避難解除」に抗議〜南相馬住民(2014年10月10日配信)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1840

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