◆福島の子供、甲状腺がん新たに15人 昨年4月以降の検査で
(2015 年12月1日 北海道新聞)
2011 年3月の東京電力福島第1原発事故当時、18歳以下だった福島の子供たち約38万人を対象とする甲状腺がんの検査で、福島県は30日、昨年4月以降で計 39人に、がんやその疑いが見つかったことを明らかにした。原発事故と甲状腺がんの因果関係をめぐり、あらためて議論を呼びそうだ。福島市で同日開いた検 討委員会で、昨年4月~今年9月の2巡目の検査結果を報告した。これによると、がんと確定したのは15人、がんの疑いは24人。11~13年度の1巡目検 査でがんと確定したのはこれまでに100人、疑いは15人に上っていた。一般的に子供が甲状腺がんになる割合は「100万人に数人」とされ、福島ではこれ を大きく上回っている。1 巡目検査の結果について、福島県は1986年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故で甲状腺がんが多発したのは事故の4、5年後からだとして福島事故との因果関 係を否定してきた。症状がなくても検査することでがんの発見確率が高まる「スクリーニング効果」によるものだとも説明してきた。2巡目でも新たな発見が相次いでいることについて、検討委後の記者会見で清水一雄・甲状腺検査評価部会長(日本甲状腺外科学会前理事長)は「放射線の影響かは結論を出せない」としつつも「多発していることは事実だ」と認めた。検討委の星北斗(ほしほくと)座長(福島県医師会副会長)は「チェルノブイリと比べて福島の被ばく線量は極めて少なく、放射能への感受性の強い5歳以下では見つかっていない」と説明し「放射線の影響とは考えにくい」と従来の見解を繰り返した。
これに対し、委員などからは「内部被ばくを考慮できていない」「チェルノブイリより線量が低いと明確に示せるのか」などと疑問視する声が出た。
専門家の間でも、福島事故と甲状腺がんの「多発」の因果関係をめぐる評価が割れていることが浮き彫りになった。(報道センター 関口裕士)
◆福島の11人、新たに甲状腺がんと診断 合計115人に
福島県は30日、東京電力福島第一原発事故当時18歳以下だった約38万人を対象に実施している甲状腺検査で、今年7月から9月末までの3カ月間に11人が新たにがんと診断されたと発表した。甲状腺がんが確定したのは合計115人になった。
昨年3月末までの1巡目検査でがんの疑いがあると診断され、手術を受けた2人と、昨年4月以降の2巡目検査でがんの疑いが見つかり手術を受けた9人が新たにがんと確定した。1巡目検査の2人は、本人の都合で確定診断に必要な手術がこの時期になった。
これで、がんが確定したか疑いがあるとされた人は1巡目114人、2巡目39人で計153人になった。2巡目でがんや疑いがあると診断された39 人のうち、2人は、1巡目検査で一定の大きさ以上のしこり(結節)があり、それががん化したとみられるという。19人は1巡目検査では「何もない」とされ ており、新たにがんが発生したと考えられるという。
県検討委員会の星北斗座長は「分かる範囲では、推定される福島県民の甲状腺の内部被曝(ひばく)線量はチェルノブイリの住民より低く、放射線の影響を受けやすい乳幼児にがんが発生していないことから、今見つかっている甲状腺がんは放射線の影響とは考えにくい」と述べた。(大岩ゆり)
東京電力福島第1原発事故後、福島県が当時18歳以下の子供らを対象に行っている県民健康調査で、県は30日、1巡目の甲状腺検査で「がん」や「がんの疑 い」と診断されなかった子供のうち、9月末時点の2巡目の検査で新たに9人ががんと診断されたことを明らかにした。2巡目でがんと確定したのはこれで計 15人となった。がんの疑いも5人増えて24人となった。有識者でつくる県の検討委員会で報告された。検討委の星北斗座長は「チェルノブ イリの原発事故に比べ被ばく線量が少なく、事故当時5歳以下の発症がないことなどから、これまでと同じく放射線の影響は考えにくい」と評価した。2巡目の 検査は昨年4月から始まり、対象者約38万人のうち今年9月末までに約18万人分の検査結果が確定している。1巡目の検査は今年4月末までに対象者約37万人のうち約30万人が受けた。前回発表の6月末時点で甲状腺がんと診断されたのは98人だったが、9月末時点で2人増えて100人になり、13人ががんの疑いがあるという。【岡田英】
◆福島の子2巡目検査 15人がん
(2015年12月1日 東京新聞)
東京電力福島第一原発事故による健康影響を調べる福島県の「県民健康調査」の検討委員会が三十日、福島市で開かれた。
県 内の全ての子どもが対象の甲状腺検査について、昨年四月からの二巡目の検査でがんと確定した子どもが、今年八月に開かれた前回会議での報告から九人増え十 五人となった。がんの疑いは十九人から二十四人となった。確定と疑いの計三十九人は、事故から三年までの一巡目検査でほとんどが「問題ない」と判断されて いた。
委員会後の記者会見で星北斗座長(福島県医師会副会長)は「放射線の影響で起きたがんとは考えにくい」と、従来の見解をあらためて示した。
◆甲状腺がん、15人に=子ども検査2巡目-福島県
(2015年11月30日 時事通信)
東京電力福島第1原発事故を受け、当時18歳以下だった県民を対象に実施している甲状腺検査について、福島県は30日、2巡目の検査で9月末現在、甲状腺がんと確定した人数が15人になったと発表した。6月末時点から9人増えた。
福島市で同日開かれた有識者検討委員会の会合に県が報告した。検討委の星北斗座長(県医師会副会長)は記者会見で「放射線の影響で発生したとは考えにくい」と述べ、従来の見解を維持した。
2巡目は、事故当時の胎児も対象に加え、昨年4月に開始。対象となる約38万人のうち、約20万人が受診した。
2011年から昨年3月までの1巡目の検査では、98人が甲状腺がんと確定している。
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