厚生労働省が、2017年6月に公表した「急性心筋梗塞の死亡率」都道府県別格差(2015年統計:年齢調整した急性心筋梗塞の人口10万人当り死亡率で比較)によれば、男性では最も高い福島県(34.7人)と最も低い熊本県(8.6人)で 4.03倍の格差があり、女性では最も高い福島県(15.5人)と最も低い秋田県(3.1人)では 5.00倍もの格差があった。(原発事故が起きた2011年以前の急性心筋梗塞データを見ると、2000年と2005年のデータでは、福島県は男女とも5~9位だった)
南相馬市立総合病院が公表した急性心筋梗塞や白血病、甲状腺がん等の患者数の急増、そして、政府公表統計で福島県民の「慢性リウマチ性心疾患死亡率」が急増していることを政府は軽視すべきではない。
年間5ミリシーベルトの被曝でも白血病になる可能性があることを分かっていながら(原発作業員は5ミリシーベルト以上の被ばくで白血病になったら労災認定される)福島県民に対して「年間20ミリシーベルト以下の汚染地なら戻っていい」という政策は「非人道的」と言われても仕方がない。放射能汚染地域への帰還基準を「1ミリシーベルト以下にすべきだ」という国連人権理事会からの勧告を謙虚に受け入れる必要がある。
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◆「心臓病」の地域格差 データでみる あなたの市区町村は?
(2017年8月4日 日本経済新聞)から抜粋
心筋梗塞、予防と迅速な治療が生死を分ける
血液を全身に送り出す心臓の状態が悪くなる心疾患は、日本人の死因ではがんに次いで2番目に多い。特に心臓の周囲に王冠のように巡っている冠(かん)動脈が血栓で完全に詰まってしまうと、心臓を動かしている筋肉(心筋)に酸素や栄養素が届かなくなり、心臓は止まってしまう。こうした急性心筋梗塞はリスクを高める高血圧や高コレステロール、糖尿病、肥満などにならない予防と、万一発症した場合に迅速に治療できるかどうかが生死を分ける。
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厚生労働省が2017年6月に公表した都道府県別の格差もみてみよう。人口規模が大きいため人口10万人当たりで年齢調整をした死亡率で比較しており、2015年では男性では最も高い福島県(34.7人)と最も低い熊本県(8.6人)で4.03倍、女性では最も高い福島県(15.5人)と最も低い秋田県(3.1人)で5.00倍の格差があった。
元データ 政府統計名 人口動態統計特殊報告 平成27年 (2015年)…この中の 1-26 をクリックすると 急性心筋梗塞 の都道府県別データが出てきます。
急性心筋梗塞の死亡率(人口10万人当り)全国平均 34.6人 福島県82.5人
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原発事故が起きた 平成23年(2011年)以前の 急性心筋梗塞 のデータ
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南相馬市立総合病院が公表した患者データより
政府公表データ 慢性リウマチ性心疾患死亡率
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2013年6月22日 東京新聞
◆国連人権理事会 福島事故、健康である権利侵害
(2013年6月22日 東京新聞)から抜粋
5月27日にスイス・ジュネーブで開かれた国連人権理事会で、福島原発事故後の健康問題に関する調査の報告があった。特別報告者、アナンド・グローバー氏の報告と勧告は、日本政府にとって厳しいものだった。
報告では、原発事故直後に緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の情報提供が遅れたことで、甲状腺被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤が適切に配布されなかったと強く批判した。
その後の健康調査についても不十分だと指摘。特に子どもの健康影響については、甲状腺がん以外の病変が起こる可能性を視野に、「甲状腺の検査だけに限らず、血液や尿の検査を含めて全ての健康影響の調査に拡大すべきだ」と求めた。
日本政府が福島の避難基準について1年間に浴びる被ばく線量を20ミリシーベルトとしていることに対しては、「科学的な証拠に基づき、年間1ミリシーベル ト未満に抑えるべきだ」と指摘。「健康を享受する権利」を守るという考え方からは、年間1ミリシーベルト以上の被ばくは許されないとした。
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