デヴィッド・スズキ博士のトークイベントで配布された資料
February 17, 2016
2016年2月14日、東京で開催されたデヴィッド・スズキ博士のスペシャルトークイベントで、放射能から子どもを守る企業と市民のネットワーク代表の中村隆市がスピーチしましたが、そのとき配布された資料の抜粋をアップします。
【江戸時代の哲学者、三浦梅園の言葉】
江戸時代の医者であり、哲学者でもあった三浦梅園がこんなことを言っています。
「枯れ木に花咲くに驚くより 生木に花咲くに驚け 」
梅園は、枯れた木に花が咲くことを驚くより、生きた木に花が咲くことを驚くべきだと言います。
毎年、冬が過ぎて、春が来たら梅が咲いて、桜が咲きます。いつもと変わらない風景、あたりまえにあるものを私たちは軽視しがちです。しかし梅園は、「奇跡的なめったにないこと」ではない「日常の中に奇跡が宿っている」と言っています。
私たちが今、生きているこの地球も、まさに奇跡そのものだと思います。
森も山も、川も海も、動植物も、そして、私たち一人一人の身体も奇跡だと思います。私たちは、朝起きたら目が見えて音が聞こえます。手が動いて足が動き、歩くことができます。肺や心臓は、目が覚める前から、寝ているときにも動いています。死ぬまで休むことなく働き続けています。
デヴィッドは、来月80歳になります。人間の心臓は、80年生きると、およそ30億回も鼓動を打ち、心臓を収縮させて、全心に血液を送ります。それを昼も夜も寝ているときも続けています。奇跡だと思います。
5年前に福島原発事故が起こり、いま心臓病が増えています。
今、働き者の心臓があちこちで止まるようになりました。原発事故で放出されたセシウムなどの放射性物質が心臓に蓄積されるからです。特に福島の急性心筋梗塞の死亡率は、全国平均の2.5倍も多くなり、慢性リウマチ性心疾患の死亡率は、全国平均の約3倍にもなっています。
*急性心筋梗塞 福島県/全国 *データソース(政府統計)
*慢性リウマチ性心疾患 (左:全国、右:福島) *データソース(政府統計)
増えているのは、福島県だけではありません。
心筋梗塞の「治療数」は、東北や関東でも増えています。
チェルノブイリで増えた白内障や水晶体の疾患など目の病気や血管の病気、貧血なども福島県で増えています。
貧血による死亡率も高くなっています。
こうした病気以上に甲状腺の病気が増加しています。
原発事故当時18歳以下の子どもたちは、事故の翌年から1年ごとに比較すると、
その異常な増え方がよくわかります。(2015年8月公表分まで)
通常、未成年者の甲状腺がん発症率は、100万人に2~3人です。
福島県の原発事故当時の18歳以下の人口は、約37万人でしたが、
2014年と2015年は、年間40人ほどが甲状腺がんになっています。
2008年のデータでは、24歳以下で甲状腺がんになった人はいませんでした。
(以下、省略)
原発は、ウランを掘り出すところから始まって、燃料に加工する過程、原発を稼働させる段階で放射能汚染を広げます。そして、最終的には100万年も管理が必要な放射性廃棄物を未来世代に「負の遺産」として残してしまいます。
奇跡のように宇宙に誕生した地球という惑星、そして、そこに生きる生物。
こうした地球や命の奇跡を私たちは大切にしたいと思います。
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