セヴァン・スズキの Be the Change! ツアー2016 ~ミライノセンタク~の報告
1992年、地球環境を守るために国連が主催した地球サミットで、12歳の少女が世界を驚かせるスピーチをしました。その「伝説のスピーチ」を行ったセヴァン・スズキさんが36歳になり、2人の子どもを連れて来日。東京、京都、岡山、福岡、北九州で講演とトークセッションを行ないました。
カナダのバンクーバーと日本の時差は16時間、子どもたちは夕方には眠りました。
ツアーの打合せを終えて、深夜に眠ったセヴァンさんは、なんと夜中の2時に子どもたちに起こされたとのこと。それでもセヴァンさんは、見事に東京での講演とトークセッションを行ないました。
【レポート】5/8、セヴァン・スズキのBe the Changeツアー2016 @東京
東京を皮切りに、京都、岡山、福岡、北九州と5か所でのトークイベントに参加した、世界を代表する環境文化活動家、セヴァン・カリス=スズキさん。「Be the Changeツアー2016~ミライノセンタク」と題された今回のツアーのキックオフに当たるイベントを、東京で担当させていただきました。
>>ツアー公式HP http://www.severn2016.com/
セヴァンの来日は2年ぶり。今回は2人の子ども、そして姪のミドリさんもセヴァンに同行し、ツアー全体を、ナマケモノ倶楽部世話人でウインドファーム代表の中村隆市さんがセヴァンと一緒にまわってくださいました。
東京では、ナマケモノ倶楽部、気候変動に取り組む国際環境NGO350.org Japan、ピースボートの協力をいただき、またパルシステム東京の協賛もえて、1か月と短い期間ながら、ゲスト、スタッフあわせ280名近い人が、セヴァンのスペシャル・メッセージに耳を傾けました。セヴァンからは、世界的な動きに目を向けること、個人でできることを実践していくことの2つが大事だと、具体的に問題を解決していくためのビジョンを提示してくれました。
ちょうどセヴァンが日本についたころ、母国カナダの西部アルバータ州では、記録的な暑さによる山火事がおき、オイルサンドの工場で働く労働者を非難させなくてはいけないほどの威力で、工場閉鎖によりカナダのみならず、その恩恵を受けているアメリカ経済にも打撃というニュースが日本にも飛び込んできました。環境問題はあとまわしではなく、経済問題と表裏一体であり、私たちの「選択」がまさに問われ、また一人ひとりの「選択」があつまることで政策をも変えていけるのだと、今回の各イベントでの報告を聞きながら思いました。
後半のパネルトークでは、350.org Japanの古野真さんから、気候変動問題を解決するために個人にできる取り組みとして、アメリカの大学生たちからはじまった「ダイベストメント(投資撤退)」運動の紹介と、日本でも渋谷区や大学に提案しているところであり、またダイベストメント宣言への賛同者を求めていく、という報告がありました。
>>ダイベストメント声明についてはこちら! https://act.350.org/sign/divest-japan/
ウインドファーム代表で放射能から子どもを守る企業と市民のネットワーク(ほうきネット)代表もつとめる中村隆市さんからは、86年のチェルノブイリでの原発事故を受けてより取り組んできたベラルーシの子どもたちの医療支援と現地政府の対応、それらの教訓にまったく倣っていない311以降の日本政府の被災者への対応と、いま、私たちができる「ミライノセンタク」について、「いのちを守りたい」という熱い思いにあふれた発言がありました。
>>原発を稼働させる会社の電気は買いません~でんき買い替えプロジェクト http://www.egokaraeco.net/
さらに、ナマケモノ倶楽部共同代表でスローウォーターカフェ代表の藤岡亜美さんからは、311あと宮崎に家族と暮らすことになり、自分の子どもたちだけでなく、地域の子どもたちもも巻き込んでローカルで暮らしを組み立てていく「友産友消(ともさんともしょう)」キャンペーンについて、聞いているそばからワクワクする暮らしの実践の紹介がありました。
>>友産友消プロジェクト http://tomotomo.site/
セヴァンも交えて、「どう周りを巻き込んでいくか」といった突っ込んだディスカッションに発展しました。セヴァンからは、「パネリストたちの発言をリアルタイムで英語に通訳してもらえたので、そのまますぐ意見をいうことができて、とってもエキサイティングだった!」と感想をもらいました!!
イベント終了後のサイン会、各団体によるブースも盛況で、イベントで学んだこと、得た情報をどう日常に活かしていくかにつなげたい、という主催側の思いが伝わったように感じました。
* * * * *
セヴァンは帰国時に、日本の在来野菜のたね(大根と小松菜)をもちかえりました!みなさんはイベントの後、何からはじめていますか?
オカネの流れを変えてみる、いのちを軽視する政府の指針に「NO」の声を届けてみる、選挙にもっと関心をもってみる、日々の暮らしを丁寧に紡いでみる、地域の集まりに顔をだしてみる(意外と気があったり、敷居が低かったりするかも!)。
6月4日の世界環境デーに向けて、そして、6月21日の夏至(キャンドルナイト)に向けて、家族と、大切な人と、ちょっとずつ「私の選択」を実行していけるといいですね。
5月10日 京都 18:30~21:10 キャンパスプラザ京都
京都では、セヴァンさんの12歳のスピーチ映像から始まりました。
京都講演では、〈ファシリテーション グラフィック〉で、お話をリアルタイムで記録していただきました。
肥後 祐亮さん、中尾 有里さん、素晴らしい技を、ありがとうございました!
5月10日(火)未来を選ぶ Be the change!
(2016年5月11日 espero情報!)
https://youtu.be/N0GsScywvx0少女はふたりの子どもたちの母親となりました。そして、あの頃と少しも変わっていない(より悪くなっている)地球環境に今も警鐘を鳴らし続けています。今回の来日ツアー、京都での講演会に行ってきました。300席近い会場がほぼ一杯でその多くは学生さんや若い社会人でした。通訳は同じく環境活動家のアイリーン・スミスさん。セヴァンは初めに「この中でお母さんは立ってください」。そして立ち上がった私たちたくさんの「お母さん」に「Happy Mother’s Day!」と会場の人々と一緒に拍手をしてくれました。とてもすてきな始まり方だと思いました。セヴァンは「自分も母親になってはじめて親の気持ちがわかる。よい未来を子どもたちに渡したい」。私たちひとりひとりが変化の主体になること。電力会社を選ぶ。選挙で政治家を選ぶ。地球に負荷をかけない日々の暮らしを選ぶ。
後半ではウインドファームの中村隆市さん、福島から避難している宇野さえこさん、安保関連法に反対するママの会の西郷南海子さんがスピーチを行い、その後パネルディスカッションが行なわれました。中村隆市さんは反原発の運動家でありコーヒーをフェアトレードしているウインドファームの代表でもあります。ちょうど今、彼の本を読んでいます。フェアトレードは生産者に対して、地球に対して、さらには未来に対してもフェアでなくてはいけない、のです。会場で私たちは講演者の話を聞くだけではなくてまわりの参加者と話す機会ももらいました。私が話した若い学生さん二人は奈良と岐阜からの参加者でした。高校の時に教科書でセヴァンのスピーチを知ったそうです。名古屋でフェアトレードのイベントにも参加したとかで話が盛り上がりました。最後に参加者一人ひとりが蝶の形をした布に「自分はこれからどう変わるか」を書き記しました。それらは集められて1枚のバナーになるそうです。
http://act48.jp/files/20160316/20160316_shomei.pdf
企画・準備を進めていく過程で実行委員のメンバーの間で、「セヴァンやゲストのみなさんから受け取るだけの一方向ではない、参加者一人一人から発せられる双方向のイベントにしたい」という思いが自然と湧いてきて、昨日のような形となりました。
【208名の「私のBe the change!」】
10日に行われた講演会で、皆さんに書いてもらったコメントをテキストにしました(順不同)。会場に来られた方はもちろん、そうでない方も、ぜひ多様性あふれるメッセージをご覧ください。そして一人一人のBe the change!が重なり合って響き合って、未来を変えていきましょう。
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・My Change 自然保護協会に所属しています。ひとと自然の架け橋になります!
・戦争法絶対やめさせる為に斗う!/憲法改悪阻止!/原発を稼働させない!
全文はコチラ
添付の写真は、集まった205枚ものちょうちょ達と、それらを嬉しそうに眺める打ち上げ時のセヴァンの様子です。
5月11日 岡山 18:00~20:30 岡山国際交流センター
岡山)セヴァン・スズキさん講演会、5月11日に岡山で
波多野大介 2016年4月29日03時00分 朝日新聞
12歳の時、ブラジルで開かれた地球環境サミットで演説をした日系4世カナダ人、セヴァン・スズキさん(36)の講演会が5月11日、岡山市北区奉還町2丁目の岡山国際交流センターで開かれる。2児の母になった今も、環境保護に力を注ぐセヴァンさんと、地球環境の未来に向けた暮らしや行動の選択について考える。
講演のほか、有機農業や環境活動に取り組み、福島などで被災者支援を続ける福岡県の中村隆市さん、東日本大震災後に福島県川内村から岡山市内に移り住み、避難者の支援活動をしている大塚愛さんとの対談もある。
5月11日(水)、岡山市国際交流センターでセヴァン・スズキ講演会「Be the Change~ミライノセンタク~」が開催された。セヴァンさんを一目見ようと会場に来た人たちは約230人。平日の夜にもかかわらず、会場は来場者でいっぱいとなった。登壇者はセヴァンさんの他に、中村隆市さんと大塚愛さん。それぞれの講演の後に、3人によるトークセッションが行われた。
始めに、セヴァンの講演会開催に当たって、中村隆市さんがあいさつ。中村さんはチェルノブイリの原発事故後に、被害を受けた現地の人たちへの支援活動を積極的に行ってきた。事故後に病気となる人が現地で増えていることに言及。2011年には東日本大震災によって福島で原発事故が起きたが、日本でも同じことが起こりつつあると警鐘を鳴らした。
続いて、セヴァンさんによる講演。現在、石油に代わる資源としてタールサンドが注目されているが、その生成過程でたくさんの産業廃棄物が発生すること、生成の過程で温暖化ガスが発生し、気候温暖化に悪影響を及ぼしていることを説明。そうした悪循環が起こるプロセスは原発によって引き起こされる負の循環ととてもよく似ているということを話した。最近カナダで起きた山の大火事(約10万人が避難)やシリア難民を引き起こした戦争の原因が地球温暖化と関係あることについて触れ、私たちの日々の生活がいかに世界で起きていることと関係が深いか、ということを語った。カギは、多様性にあると言う。環境問題だけでなく、文化についても多様性を守ることが地球を守ることにつながると力説した。私たちが今何をするかによって、未来は変えることができるのだと情熱的に訴えかけた。
大塚愛さんは元々は福島の居住者だった。原発事故が起きてから、実家がある岡山市に避難。福島原発おかやま損害賠償請求事件の原告として、岡山地裁で行った意見陳述の一部をこの日、再読してくださったが、まるで美しい詩の朗読を聴いているかのようだった、と来場者より感想も寄せられた。岡山では組織を立ち上げ、避難者の支援や福島から来る人たちの保養を受け入れている大塚さん。現地にとどまる人も、避難する人も、ひとりひとりの選択。みんなの正解ではなく、ひとりひとりが出した正解と選択肢を認めることが大事ではないかと語った。
講演会が進むにつれ、会場全体がひとつになっていくような一体感を感じたのは、なぜだろう。後半の、セヴァンさん、大塚さん、中村さん3人のトークセッション終了時に、セヴァンさんと大塚さんが互いにハグしあう姿が印象的だった。岡山の子どもたちが事前に準備した手書きの垂れ幕が、講演会にあたたかみを添えた。(玉置麻子)
セヴァン・スズキさんの講演を聴かせていただきました。会場は予約で満席。さすがの人気です。娘(大塚愛)も合間に30分ほど講演を頼まれていたので、私は1歳半の孫を預かり、岡山駅で電車やバスを見せて過ごしました。・・・会場に戻ると、セヴァンさんが最後の質疑応答をされていました。「座右の銘は?」の質問に、「自分の声に正直に生きなさい」とセヴァンさん。1992年、リオの環境サミットでスピーチした12歳の少女は、今や36歳。二児の母。「地球を守りたい」「世界を変えたい」との願いから、今も発言・行動し続けるセヴァンさん。最後尾に座っていても、彼女のゆるぎない意志と熱い思いが伝わってきました。会場正面の垂れ幕は岡山の子どもたちが事前ワークショップで描いたもの。イベントを企画・準備してくださった「スロウな本屋」の小倉みゆきさんとお仲間に感謝です。(市場 恵子)
大塚愛さんがこの日、話されたこと(岡山地裁での意見陳述)を一部を掲載します。
私が福島で生活を始めるようになったのは大学を卒業した3年後の1999年のことです。…大学卒業後,自分の夢を模索する中で自給自足と大工を目指すようになり,福島県川俣町にある農場で農業研修を受けることになりました。半年間の農業研修ののち,私が生活をしていたのは福島県双葉郡川内村というところです。川内村は浜通りの中部に位置し,福島第一原子力発電所からは30キロ圏内にあります。
私はこの村に自分で小屋を建てて住み,村の大工の親方に弟子入りし,平日は大工仕事を,土日は農作業をしながら生活していました。川内村に移ってから4年後,仕事の関係で福島に来た夫と出会って結婚し,川内村に夫婦で新居を建てました。子どもが2人生まれて家族4人になり,大工と建築設計の仕事を営みつつ,春には山菜を採り,夏には渓流で泳いでヤマメを釣って食べ,秋にはキノコやクリを採り,冬には薪で暖をとる,そのような暮らしをして,四季のめぐりや自然の恵みに何より生きる豊かさを感じていました。
平成23年3月11日午後,東日本大震災が発生しました。…テレビのニュースでは,原発の電源は回復していないという報道がされ,午後3時ころには1号機が爆発したと報道されました。…今までずっと起きてほしくないと思っていた原発事故が本当に起きてしまった。私が住んでいたあの家にも,庭にも,畑にも,山にも,川にも,放射能が降ってくるということが,本当に起きてしまったんだ,と,悲しい気持ちでいっぱいになりました。私にとって,それまで穏やかに暮らしていた世界が,音を立てて崩れていくような出来事でした。私は会津若松の路地裏で涙が止まらなかったことを覚えています。
避難後は,深い悲しみの中で過ごしていました。精神的には,まるで体中の血管が断ち切られ,そこから血が流れているように感じました。人は誰でも生活をしながら,そこで関わる人や土地や自然というものに,心をつなげて生きていると思います。私にとって原発事故による避難という体験は,そのあらゆるつながりが突然断ち切られてしまうことでした。…2011年4月に入って,新聞やインターネット,福島にいる友人からの情報によって,原発事故による放射能汚染の実態が明らかになってきました。そのときにわかったことは,放射能の汚染物質が福島県中通りを通り,たくさんの人が住んでいる地域に広がっており,またその情報が適切に住民に伝えられておらず,高い汚染を受けた地域に子どもも赤ちゃんも残っていることでした。私はその状況に対して,子どもたちを被爆から守らなければいけない,と強く思いました。
福島県内に残っている知人達は,いち早くその必要性を感じとり,子ども達を避難させ,自主的な除染作業などを始めていました。私も岡山からそれを支えたいと思い,支援の協力を呼びかけて,2011年5月に「子ども未来・愛ネットワーク」という市民団体を立ち上げました。そして,福島県内に放射能防御や受け入れ支援の情報を届けたり,岡山県内に自主避難してくる親子のサポートを行ったりしてきました。
一方,その頃の福島県では,県の放射線アドバイザーとして派遣された長崎大学の山下俊一教授が,「放射能を気にしなくてもいい」という内容の講演をして回っていました。その頃の福島県内は今よりもはるかに放射線量が高く,とても安全とは言えない状況でした。事故直後から,「外出時はマスクをつけてください」,「雨や雪に当たらないでください」,「水道水や食料に気をつけてください」と伝えていれば,福島や関東圏の子ども達は無用な被爆を避けられたと強く感じています。
東京電力は「原発は安全」と言い続けてきました。しかし,ひとたび事故が起これば,大気中に出た放射性物質に対して何も対処をすることなく,その責任を放棄しているかのように見えました。また,国は被害を最小限に見せるため,正確な情報を適切に伝えることをしませんでした。
チェルノブイリ事故の被災地では,年間追加被ばく線量が5mSv以上の汚染で避難地域に指定されましたが,日本の基準はその4倍の年間20mSvです。チェルノブイリでは,今も多くの健康被害が出ているというのに,この4倍に上げられた数値に対して,誰が責任をもって「安全です」と言い切れるのでしょうか?
全文はコチラ
(Free the Children Japan, Kagawa Groupに投稿した10歳のゆうすけ君)
昨日は、岡山でセヴァン・スズキさんの講演会がありました。セヴァンは、12歳のときにブラジルのリオで開催されていた国連地球サミットに、自分でお金を集めてカナダから行き、各国の首脳の前でスピーチをしました。「どうやって直すのかわからないものを、こわしつづけるのはもうやめてください。」「もし戦争のために使われているお金をぜんぶ、貧しさと環境問題を解決するために使えば、この地球はすばらしい星になるでしょう。私はまだ子どもだけどそのことを知っています。」
まさにキッズパワーです!
二人の男の子のお母さんになったセヴァンは、今も未来の世代に豊かな地球を残すために活動しています。今、カナダではタールサンドから石油を取り出すことにたくさんのお金が注がれているそうです。それは、中東のさらさらタイプの石油の代わりになるものとして期待されているからです。でも、まさにそのタールサンドの現場近くのフォートマクマレーという町をいま山火事が襲っています。セヴァンは、多くの命が犠牲になる可能性がある化石燃料や原子力ではなく、自然エネルギーに頼る社会に変えていくことの大切さを話していました。
僕は、環境やエネルギーの問題についてもっと知りたいと思いました。僕たちにもできることがきっとあります。
(山陽新聞に投稿した小学6年・佐藤彩帆さん 6/22朝刊掲載)
5月14日 福岡 13:30~16:45 パピヨン24ガスホール
福岡の講演会には、たくさんの子どもたちが集まった。
亀山ののこさんが4月に南方新社から発売した写真集『9』の写真も展示された。
セヴァンの本も販売された。
4月から始まった電力自由化「自然エネルギーの電力会社を選ぼう!」
セヴァンのジャパンツアーの一月前、熊本が揺れました。ツアーのタイトルは、「Be the change!~ミライノセンタク~」すでにさまざまな選択を迫られている私たちに、地震はショックな出来事でした。まさに足元から揺さぶられる…今の自分の事を「これでいいのか、それともまだ他の選択があるのか」と、再確認したい時期だっただろうと思います。会場に集まったのは、セヴァンと同じようなお母さんたち、女性の姿が目立ちました。
準備をしている私たちのところに軽やかに現れたセヴァンは、2年前に会った時より地に足がついて見えました。落ち着いていて、そして笑顔を絶やさないセヴァン。私たちを励ましに来てくれている…さりげないやさしさが彼女にはあります。
2年前にも話してくれた、カナダのオイルサンドを巡る状況は、決して良くなってはいないし、福島のことももちろん解決していない。セヴァンの話を聞きながら、「世界は悪くなっているのか、よくなっているのだろうか…」と考えていました。状況は悪くなっているかもしれない、だからこそ、自分自身が変わろうとする人たちが増えている。そのことが大きな希望です。希望と絶望のあいだを行ったり来たりしながら、それでも前に進むこと。もう、繰り返しすぎていて自分自身が新しくいること、変化すること、それが感覚としてつかめなくなりそうなとき、セヴァンのような人に会うと勇気づけられます。会場も、そんな気持ちだったのかもしれません。ひとつひとつ紡ぐ言葉に、真剣にうなづく人がとても多かったです。
ブースでも出店していた保養キャンプの「ぶんぶんリトリート」の松本亜樹さんのアピール、写真集「9」を発表した亀山ののこさんのお話し、中村隆市さんが続けている、チェルノブイリ~福島の支援の話、そして最後のおとのわミュージックのライブまで、同じ空気が流れていました。少し不安だけど、みんながいて、誰かに支えられて、そして自分も誰かの支えになっている。
終わって片づけをしているとき、写真をみんなで撮ろうよ!とセヴァンが言ってくれました。30分以上も本にサインをして、ひとりひとりと話して、きっと疲れていただろうに。今回もオーガナイザーをされた中村隆市さんも、セヴァンのおかげで笑顔になったひとり。
帰り道にセヴァンから「Are you happy?」と聞かれ、「Of course!」と答えたそうです。
ありがとう、セヴァン、また来てね。いつの間にか(勝手に)友人のような気持になっている私がいました。
(ふるせかなこ)
=========講演会参加者の方の感想============
私は今回初めてセヴァンの講演会に参加しました。
セヴァンは同年代で、同じ子育て真っ最中の母親です。
講演会の為に小さな子どもを二人も連れて遠い日本までやってくる事に、まずパワフルな人だなという印象を受けたのと、私達のために来てくれたことへの感謝の気持ち、そしてそのパワーの源になっているであろう、地球への変わらぬ愛情を感じました。
彼女がリオで伝説のスピーチをしてから24年が経ちますが、その間、地球環境は変わったのでしょうか?
私の住む福岡は数年前からPM2.5の問題が特に深刻になっています。
都心部に行くと川はヘドロで悪臭を放っています。
山間部では木が沢山切り倒され、はげ山になっている山をよく見かけます。
そして5年前には福島で原発事故が起こり、環境に大きな負担をかけています。
こうして私の周りの状況を見る限りでは、24年前から良くなるどころか余計に悪くなっているように思えます。
この100年の間に人間が自然に対して行ってきたことは急激に、そして確実に地球を弱らせています。
この状況を改善していくにはどうすれば良いのか…
その答えはセヴァンの言葉や、先日来日したムヒカ前大統領の言葉の中にありました。
それは、「足るを知る」ということです。
豊かな生活をするためにはもっとお金を稼がなければいけない…その幻想に囚われている人が大勢いるからこの世界は経済活動優先になり、その結果命がないがしろにされている、と感じます。
私たちひとりひとりが今受け取っている恵みに感謝して物を大切に、質素な暮らしを心がけていけば、大量の電気を生み出すために原発を使う必要もなくなるし、汚染物質を吐き出す工場や自動車を減らせるし、あくせく働くことで失われている家族や友人との時間も取り戻せます。
経済中心の世界が生み出しているのは環境問題だけでなく、「北と南の格差」もあります。
先進国に住む人々の豊かな暮らしを支えているのは、貧しい国の人々です。
大量生産の裏には低賃金で過酷な労働を強いられている弱い立場の人々の存在があります。
特に学校にも行けず劣悪な環境の中で一日中働かされている子どもたちの存在は、本来あってはならないものです。
私達が安い製品を求めることは、その人達をいつまでも過酷な環境に置き続けることに繋がります。
良い製品を適正価格で購入し、大切に長く使う。
貧しい国の労働者から搾取する企業の製品は買わない。
消費者の意識が変われば提供する側の企業も自ずと生産スタイルを変えざるを得ないと思います。
今回の講演会は、セヴァンの講演だけでなく、中村隆市さんのチェルノブイリのお話や松本亜樹さんのリトリートのお話、亀山ののこさんのスライドショーなど盛り沢山で、どれも心に響くものでした。
みんな、この地球上に生きる「命」を愛している。
だからそれを破壊する行為が許せないし悲しい。
そして自分自身もこの国で生きている以上それに少なからず加担してしまっている…
でも大事なのは、その事実を知ったからには見て見ぬ振りをしないで少しずつでも変えていこうと努力することだと思います。
そしてどんなに世界が悪い状況に見えても、決して諦めないこと。
世界を今すぐに良くすることはできません。でも、私たちひとりひとりが毎日の生活スタイルを少し変えるだけで、いつか良い未来がやってくると私は信じています。
今回の講演会に参加して、改めてそんな希望を持つことができました。
未来の世界では、人類の発展だけでなく全ての生命を尊重し、この美しい地球を守っていこうという考えがスタンダードになっていることを願って、私も自分なりの「Be the change」を実行していこうと思います。
このような素晴らしい講演会を開いてくださり、ありがとうございました。
5月15日 北九州 11:00~16:00 黒崎 子どもホール
◆5月15日 第1部(11:00~12:15)
*チェルノブイリから始まった「フェアトレード」の物語
中村隆市さんによる講演(30分)
*憲法9条をテーマとした写真集「9」のスライドショー
亀山ののこさん制作の写真集「9」スライドショー(15分)
*社会を変える新しい動きの紹介
吉岡和弘さんによる講演(20分)
●吉岡さんが話された内容「人類社会の未来を開く新しい動き」
世界は、我々を失望させるような事に満ち満ちています。しかし、そんな中で、人類の未来を開く新しい動きが世界中で立ち起こってます。そんな世界の動きをご紹介します。イギリス発で、世界中に広がって展開している、トラジションタウン運動。ロシアでは、アナスタシアに動かされて、コミュニティが260もでき、ロシア政府の政治を動かしています。そして日本でも、多くの未来と希望に満ちたプロジェクトの中でも、三重県鈴鹿市のアズワンコミュニティが注目を集めています。さらに北九州地元でも、新しいコミュニティが動きだそうとしています。
●吉岡和弘さんプロフィール
1958年生まれ、法政大学文学部哲学科卒。臨済宗円覚寺専門道場にて禅修業。ビジネスマン生活を経て、持続可能な社会作りの活動を行う。現在、FMKITAQ顧問 番組「GAIAWIND」代表、ピースネットワーク&トランジションタウン北九州 代表、国境を越えて人類はひとつになるフォーラム 代表、鎮西坐禅道場 副道場長、経営・コミュニティコンサルタント、北九州市在住
◆5月15日 第2部(13:00~16:00)
セヴァン・スズキの「未来を変える講演会」2016
その1~ セヴァン講演(途中から)
セヴァン・スズキの「未来を変える講演会」2016
その2~ フードバンク北九州ライフアゲイン 理事長講演
原田昌樹さん講演の書き起こし
セヴァン・スズキの「未来を変える講演会」2016 その3
チェルノブイリと比べても福島原発事故の被ばく対策が酷すぎる
トークセッション(セヴァン×原田昌樹×中村隆市)
トークセッションの書き起こし
セヴァン・スズキの Be the Change! ツアー2016
~ミライノセンタク~ が終ったあとの報道から
12歳で「伝説」と評されるスピ…
セヴァン・スズキの Be the Change! ツアー2016 ~ミライノセンタク~ 全国の呼びかけ
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